ウルティマオンライン・出雲シャードで活動中のRPギルドです。


by Izumo_FoA

モノローグ

虚ろの騎士。


「何が騎士だ…」

自虐的な呟きが、あった。


指輪戦争―

かつて、北ミノックで発見された魔性の指輪に発端をなし、
やがてブリタニア全土を巻き込むまでに至った大いなる戦いがあった。

邪悪の指輪に魅入られた元セブンストーンズタウン市長キョウイチ、それに与した終末の信徒および漆黒の騎士等のカオスサイドの軍勢と、
セブンストーンズ王国、マティアス大公国、そして八徳の王国を中心とした北ミノック騎士連合。
二つの勢力は、幾多の戦いを経て、ブラックソーン城にて雌雄を決する戦いに挑んだ。


結果は騎士連合の勝利である。
キョウイチを王の間に追い詰めた騎士連合。
キョウイチは指輪に肉体を蝕まれ、最期には指輪もろとも消え去った―

これが指輪戦争の終結である。

だが―


「この戦いに勝利者なんていない」

男は心の中で吐き捨てた。
その背中の向こうには、たった今、
指輪の主キョウイチが消滅し、
その余韻を残したブラックソーン城の玉座があった。

「彼は指輪に魅入られた被害者だ」

「あるものを悪と決め付け、それを実力を持って排除することを
 彼らは名誉と呼んでいる」

「だが、騎士の努めは苦痛にさいなまれた者を救うことではないのか?
 我らの剣は真に悪をなすものを滅ぼすためにあるのではないのか?
 我らは望みを達成できなかった。 なのに勝利したと言っている。
 我らは勝利したのか?否―

 目の前の人間一人救えなくて・・・ 何が騎士だ!」


男の名は、レイファラルドインソル・アルソレイユティルダンフィロと言った。
巷では銀色のレイと呼ばれている。

騎士連合の中核を担う、セブンストーンズ王国騎士団の一人だった。


時を経て―
レイは、中立を宣言したセブンストーンズから八徳の王国騎士団へと所属を移し、なおもブリタニアの平和を脅かす終末の信徒などの存在と戦い続けていた。


それらとの戦いも、一区切り付いたある日―

騎士団はスカラブレイ住民より依頼を受ける。

「野盗があらわれ、家畜などをさらっていくので退治して欲しい」

罪なき市民を守るのは騎士の義務である。それは当然だ。
だがレイはこの依頼に疑問を感じた。

その野盗が滅ぼされたばかりの村の生き残りであり、その日の食料すらままならない貧しい者達の集まりだと言うことは、当時知られていた。
しかもその村を滅ぼしたのは騎士だという。

疑問を持ちながらも、任務に当たるレイ。
しかし、ブラックソーン城の王の間で芽生えた迷いの芽は、
確実にレイの中で大きくなってきていた。

やがてスカラブレイにて、飢えた顔の盗賊たちと対峙した時―

彼の中で何かが傾いた。



「自分はどちら側に所属すべきなのか考えろ」




そして…

喧騒

罵声

剣戟

斧の重み

焼ける臭い

血の臭い

血の感触

なにかが倒れる音

家畜を持ち去っていく盗賊たち



気がつくと、騎士達が足元に横たわっていた。

自分がやったのだと言う感覚は在る。


「俺は騎士を殺したのだ」

震えは止まらなかった。 しかし後悔はなかった。




それからというもの、銀色のレイは歴史の表舞台から姿を消した。


目的のない、長い放浪の生活―

それはかつて掲げていたものを曇らせるには、十分だったのかもしれない。


だが、戦いに望む、生来の気性までは変えられなかった。

彼の心は語る―

「騎士と呼ばれていた、かつての自分がしてきたこと。
 それは、己の中の破壊の衝動を肯定しただけに過ぎない。
 敵をもとめて戦っていたのは、ただ自分の内から来る、
 破壊の衝動に従っただけだったのだ…

 それは、名誉などとは呼ばない。
 単なる欲望だ。
 かつて名誉と信じ、尊いものとしてきたものはただの低俗な欲望に過ぎなかったのだ。

 だが、後戻りするには俺の両手は血に汚れすぎた。
 自分の過ちに気づいても、内から来る破壊の衝動は抑えられぬ…

 ならば己を否定すまい。
 破壊衝動に従い、すべてを滅ぼすのみ。
 幾多の者に滅びを与えた末に己が滅びる時こそ― 俺はやっと満たされるのだ。

 そうしてしか、生きられない己を哀しく思う。
 だから、せめて、破壊の後の再生を望もう。」


破壊の後の再生、終末の思想。
かつて彼が敵として戦った、終末の信徒の思想がそれだったことを、
レイは思い出した。

終末の信徒の一員がかつてこう言った。
「龍を追うものはいつか龍になる」
今のレイには、その言葉の意味がわかる気がした。


そして、レイは、再び戦いに望む。


不毛なる終末に向かい戦う者として―



                                      End.
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# by Izumo_FoA | 2006-07-29 15:04