ウルティマオンライン・出雲シャードで活動中のRPギルドです。


by Izumo_FoA

カテゴリ:虚ろの騎士は虚無となった(11/5)( 1 )

銀色のレイはナルシヴァルを憎んだ。
かつて彼と同じ道を歩み、同じ敵と戦ったからこそ、
レイは、ナルシヴァルを憎んだ。

レイはFoAの意思とは関係なく、単独でナルシヴァルを追った。

様々な所を渡り歩き、ナルシヴァルを見つけたのは
トリンシック西の沼地、ナルシヴァルの居城
Lion's Castleの前だった。

久しぶりだな
俺と戦え!

もはやレイはそれ以外の言葉を必要としてはいなかった。

レイは斧を振り下ろし
ナルシヴァルは剣でそれに応える。

打ち合うこと数合、
倒れたのはレイだった。

倒れたレイは、肩越しにナルシヴァルの言葉を聞く

「私が強かったのではない。お前の刃が鈍ったのだ」

レイは頭を抑え、曇った声で語りだした。

「破壊することが力の正しい使い方だということを、俺は悟ったはずなのに…
 なぜ俺は勝てない!」

レイは力なく立ち上がった。

「…いや、間違っていたことなど、既に解っていた…」

レイは愛馬にまたがると、力ない視線でナルシヴァルを見た。

ナルシヴァルや、かつて共に戦った戦友達―ミルスティン、アーサー、シン、ナンナ、スパーク、サイゾー、タケルフ、ギレット…

その一つ一つの顔が浮かんでは、レイを愛しい気持ちにさせた。
だがその対象はすでに、遠く離れた場所にある。
レイには、それらに追いすがる力は、すでになかった。

「さらばだ… 愛しい人間達」

セイクリッドジャーニーがレイを彼方へと運んだ。



数日後―

ユーの森林奥地、紅き魔女ベアトリクスの館を一人のやせ衰えた男が訪ねた。
それがレイだった。

レイがFoAとして活動を開始する直前に、
ベアトリクスが一度家に寄れと言っていたのを思い出し、訪れたのだった。

ベアトリクスはレイを館に招き入れると、話を聞いた。
レイはナルシヴァルとの戦いで破れたことを話した。
そして今は、終末のために戦うことに迷いがあることも。

「ナルシヴァルとの戦いで、俺にはもはや何の力も、力を行使する意思も残っていないということがわかった…
 考え、行動し、何も成せなかった以上― この上望むのは無だ」

もはや彼は何を成す気も起こらなかった。
終末の思想など所詮、
過去の戦いで犯した過ちを正当化する言い訳に過ぎなかった。

虚ろの騎士は、本物の虚無になったのだ。

ベアトリクスは彼の話を拒絶せず、あくまで聞いた上で語った。

「弱さ。つまり、それはこの先に補うことが出来る可能性と考えられぬか?
 成長の速度は、人それぞれさ。
 遅い早いは問題ではない。
 ただ、歩むことを止めなければ、人は強く成長し続けると思わないか?」

レイは思考した。
自らの弱さ…
それをじかに見つめたことがあっただろうか?

「弱さは恥じるべきでもなんでもない」

客観的に、事実だけを踏まえてみた自分自身は、

とてつもなく弱く、不安定で、無様な存在だった。


「フフフ… あせることはない。
 疲れたら立ち止まって、歩いてきた道を振り返るのもいいだろう。
 それと、これは個人的なことなのだが…」

レイはいつの間にか、真剣にベアトリクスの話に聞き入っていたことに気がついた。

「いや、これはまたの機会にしよう」

「何だよ、気になるじゃないか…」

「これでまた来る気になったろう?
 今のお前は、一人でいると死ばかりを見つめてしまう。
 …おっと、それと、私の弟子のキリーが行方不明なんだが、捜してみてはくれないか」

レイは何故か、断れなかった。

「できることをやればいいではないか?」

世界を滅ぼすことも、世界を守ることも、
それを本当に出来る、と根拠なく信じることは
あまりにも愚かしい―

そんなごくありふれた、当たり前の思考が、
レイの頭の中にはじめて芽生えたのだった。

 
「どうやら俺も、紅き魔女の術中にはまったらしい」

「ウフフ。また来るといいさ」 
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by Izumo_FoA | 2006-11-05 01:27 | 虚ろの騎士は虚無となった(11/5)